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第35回 : 新大学会館展示スペシャル ~その3「壁の穴展示」part II~

中村 拓人
文学部文化学科文化史学専攻4回生

最終更新日 2004年2月17日

 全国一億二千万人の上京ファンの皆様こんにちは。前回にひきつづき現在工事中の新大学会館(仮)の展示設備「壁の穴展示」のお話をしたいと思います。「壁の穴展示」では、同志社今出川キャンパス・旧大学会館地点・新町キャンパス地点等で行われた発掘で出てきた遺物が、約30の窓に展示されます。発掘では様々な時代の上京をあらわす遺物が出てきており、「探求の窓」でも鎌倉時代~明治時代までの遺物が展示されます。

 今日は整理室日記をご覧くださっている皆さんに、特別にどんな遺物が展示されるのかちょっとだけリークしてしまいます。

 例えば鎌倉時代の層から出てきた瓦。現在、瓦というと民家からお寺の屋根まで幅広く使用されていますけど、江戸時代頃までは寺院や宮廷など限られた建物にしか使われていませんでした。皆さんご存知の室町時代後期に描かれた『上杉本 洛中洛外図屏風』に出てくる町家も板葺きでしたよね。(『上杉本 洛中洛外図屏風』について詳しく知りたい!という方は、同じくこの春できる新大学会館(仮)内の展示装置で勉強できる予定です!)ですから、その瓦が出てきた地点(第一従規館という建物が建っていたところ)には重要な建物が建っていたのではないかと推測できるのです。おもしろいでしょ?

 でも「興味は湧いたけど、第一従規館なんてどこにあったか知らないわ」とご心配の皆さん、心配御無用です。遺物展示窓の近辺に設けられたモニターで遺物の説明とともにその瓦が発見された場所の地図も一緒に流れるのです。いずれの場所も新大学会館(仮)の近所ですから、お時間があれば散策して「この建物の下からあの遺物が出てきたのか」と歴史に思いを馳せてください。

 他にも江戸時代のお米(黒く炭化しています)や貝殻、化粧道具、玩具、また安土・桃山時代の茶陶など、その遺物を使用していた人の息づかいが聞こえてくるような物が展示されます。「壁の穴展示」での展示の仕方は、ただ単に遺物を並べるいわゆる「陳列」とは違い、アクリルの筒や台、鏡などを使い、遺物の特徴が色々な面から見られるように工夫されています。この展示方法には学生の意見がたくさん反映され、新大学会館(仮)のホールのホワイエのオブジェかと思われるほど斬新なものです。しかし、それは決してオブジェではなく、遺物の特徴をいかに見やすく効果的に見てもらえるかを考えた結果です。

 ぜひ皆さん、この春できる新大学会館(仮)の展示設備「壁の穴展示」を見に来て確かめて下さい。


窓のモニター画面です

ここにそのうち遺物がならびます



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