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第34回 : 新大学会館展示スペシャル ~その2「壁の穴展示」part I~

上岡本 佑規
同志社大学 文学部文化学科文化史学専攻四回生

最終更新日 2004年2月8日

 今回、新大学会館2Fにできるホールの壁面に30個ほどの箱型展示ブースを設け、これまで同志社大学がおこなってきた発掘調査に伴う出土遺物を展示することになりました。

 今回の展示についてのポイントは

  1. 多くの人が利用するホールの壁面を使用
  2. 遺物に一層興味をもってもらえるような展示
  3. 新大学会館が含まれる「上京」地区の遺物の展示

以上の三点に留意して展示の企画を進めてきました。

 1についてはホールという多くの人が出入りする場所でありますので、気軽に立ち寄って眺めることができる展示を心がけました。通常、遺物はショーケースの中に並んでいるというイメージを思い浮かべますが、ここでは遺物を「オブジェ」として扱いました。学生でにぎわう新大学会館という雰囲気にうまく調和してほしいと思います。

 2については遺物そのものの「魅力」を引き出すことを目標にしました。遺物には質感や形状、描かれている模様などの様々な「魅力」があります。この「魅力」を『こんなものがある』だけにとどまらず、例えば『当時の人々はどういう気持ちでこの遺物を使っていたのかな』『こんな模様が当時は流行していたのかな』と観ている人に、ついあれこれ考えたくなるような個々の遺物についての様々な演出を考えました。この展示では観る人それぞれが遺物から想像力を働かせるように説明や解説を極力少なくしています。それぞれの遺物の使用方法やその遺物が使われた背景などを「知る」のではなく、あれこれ「考えてみる」のも歴史の楽しみの一つであると思います。

 そして3については、この展示を観ている人の足元から発掘された遺物などを観ることによって、過去の「上京」から現在の「上京」に繋がっていることを再認識してほしいと思っています。


 また、この展示は常設展示になり、将来、展示品の入れ替えなどが予定されています。そのときにはまた、同志社の学生達があれこれ趣向を凝らした展示の方法を考えてくれるでしょう。


壁の穴



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