吉川 千代
同志社大学 歴史資料館(第三収蔵庫) アルバイト職員
最終更新日 2003年12月16日
JR同志社前の駅を府道側に降りてすぐ西側に始まる通称「田辺坂」を上りきる少し手前、傾斜がやっとなだらかになり始める同大正門前のバス停の道路を挟んだ向こう側に、歴史資料館第三収蔵庫があります。銀杏のむこうにある、少し低くなったところに建つ今年の3月に竣工したばかりのプレハブの建物です。この建物にお気づきの方はもしかして「なんで冬やのにまだ簾やねん?」とお思いかもしれませんが、これがなくては辛い哀愁の西日までもが差し込む明るい空間です。今回はこの我らが京田辺第三収蔵庫について少しお話をさせていただきます。
この施設内に収蔵されている遺物は旧新町北別館地点(2002年度調査)と旧大学会館北・南地点(2003年度調査)です。新町臨光館地下の整理室で泥を落とされ、私たちが「登録番号」と呼ぶシリアル番号が付されたものが袋詰めされて、大量のコンテナに入って運ばれてきたのが今年の4月。そこでまず私たちがした作業は、緩衝材として入っていた新聞紙を取り除く作業でした、と言えば素っ気無いのですが、除いてみれば今まで見たことのない古新聞の束!そしてようやく調査報告書作成に向けての整理作業が始まりました。
現在第三収蔵庫で担当している作業は、まず割れてしまった遺物を接合すること、そしてその原型がほぼ忠実にわかったところを実測して史料化するという新町整理室のサブの作業です。京田辺にあるということもあり、学生アルバイトのメンバーがフレッシュな1・2年生たちや妙に器用だけど考古学は専門外な工学部の皆さんだったりするので、何かことがおこると即効専門家の意見を仰ぎにくくてどうしたものかわからず青くなったり赤くなったりしています。なにせ、かく言う私も考古学に関してはまったくの素人。途方にくれることも多いのですが、常勤・学生スタッフの皆さんがてきぱきよく働く様子と、もの言いたげな遺物たちを見つめ「がんばるか~」と奮起しています。
暖かい季節にはイモリやバッタや寝ぼけたヘビの訪問を受けていましたが、さすがにこのところはアリぐらいしか訪ねてきません。そんな第三収蔵庫ですが、お近くにおこしの折りはのぞいてみて下さい。運よくお茶の時間にいらっしゃれば、おもてなしいたします。ただし、スタッフのいない時間には建物に近づかないでくださいね。すごいことになってしまいますから・・・