鋤柄 俊夫
同志社大学 歴史資料館 専任講師
最終更新日 2003年3月05日
先週の予告どおり、3月3日、京田辺の歴史資料館本館2階展示室の1テーブルを利用して、大学会館地点の調査成果にかかるミニ企画展がオープンした。
テーマは「掘ったらでてきた! 江戸時代の遊」である。展示の主旨を伝えようとする製作者の意図がわかりやすく表現されている展示であり、またスペースが狭いはずなのに、とても広がりを感じさせる展示でもある。
大学会館の整備にかかる発掘調査は、昨年の2月中旬から始まり、一時中断しながらこの1月中旬までおこなわれた。その間多くの学生たちが、現場や整理室で遺跡や遺物と格闘することで、今出川キャンパスを中心とする京都の歴史にどっぷりと浸かり、歴史と自分との関係について、さまざまな想いを抱いたと思う。
現在調査事務所では、その報告書作成に向けた専門的で地道な整理作業が進められているが、調査資料の活用に際しては、専門的な見方だけではなく、今回の遺跡調査に関わった彼らの想いも反映できないだろうかと考えた。
ほかの専門分野と同様に、考古学もまた、様々な形で関わって行くことの出来る学問であり、遺跡はそういった多くの人々との関わりによって活かされるはずだから。
結果は大成功だったと考えている。彼らは時間を惜しまず真剣な議論を重ね、テーマを絞り込み、資料調査に時間をかけ、試行錯誤を繰り返しながら、限られた予算の中で町へ出て工夫をして材料を集め、見事な展示を完成してくれた。
彼らの展示の特徴は「動きのある展示」と表現することができる。モノをそのもとあった場所に戻して、さらにそれだけではなく、パンフレットやパネルを工夫して、モノからそれを使っていた人間の息遣いが感じられるようなプレゼンテーションを展開してくれた。
京田辺キャンパスの正門を入った右手の立て看板コーナーには、これも彼らのオリジナルデザインによるポスターがおかれている。 トータルなプロジェクト作品として、ご覧になった感想をぜひお寄せください。彼らと当館にとって大きな励みとなります。tsukigar@mail.doshisha.ac.jp
あらためて実感。「最近の学生は、すごい」
注:岡村バージョンとは、このプロジェクトの代表2名の名字からつけられたものです。