整理室日記 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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はじめての発掘 夏・秋・冬

林 耕太朗
同志社大学文学部(同志社大学・早稲田大学 学部交流学生)
早稲田大学商学部 四回生

最終更新日 2003年2月5日

 「都の西北・早稲田大学」から、「上京・同志社大学」へ留学している理由に、千年以上、都として歴史を育み、今も伝統行事や芸能が息づくこの地で学びたいという動機がありました。書物や映像、博物館では知りえない、まさに「現場」がそこにあると考えていたからです。
 昨年8月から歴史資料館の調査に参加し、これまでに、室町殿跡の発掘(8・9月)、新宗谷遺跡の中世館跡の試掘(京田辺キャンパス・11月)、室町殿跡の発掘(12月・1月)と、3つの発掘に携わってきました。

初めての発掘 夏
 昨年8月に、初めて室町殿跡の発掘に参加しました。発掘現場に立ち、まず江戸時代の火災層の断面の鮮やかな赤色に驚きました。しかし、発見や驚きとはうらはらに、慣れない手つきで慎重にやろうとし、逆に作業が進まず、苛立ちを感じたことを覚えています。

新宗谷 秋
 11月初旬に、新宗谷遺跡の中世館跡の試掘調査(京田辺キャンパス)をしました。枯葉舞う森中、地山の深さと土の堆積状況を調べました。小さなトレンチを数箇所空けるのですが、地面のふくらみやへこみ、木々の場所といった地形や方角などから館の配置を想像し、有意義な場所を選ぶ歴史家の感性を学びました。

室町殿跡 冬
 先日まで、雪化粧した比叡山を仰ぎ見つつ、室町殿跡の発掘を行なっていました。現場に雪が舞う日もあり、写真撮影のために水を含んだスポンジで土器を拭く作業や、水分を含んだ冷たい土との格闘がありました。

「現場」から学ぶこと
 この半年間の発掘から、なにげない風景や地形、土の色といった普段は気づかないことから、ものごとを読みとる力、感じる力を「現場」から養った気がします。社会にでてからの生活や仕事の中でも、ただ目の前の事柄だけにとらわれずに、感覚を研ぎ澄ませて、そのような事柄や存在から発想することができるようになりたいと思います。


発掘仲間は生涯の友




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