発掘物語7 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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遺跡で学ぶこと -北志寮地点の調査から-

町田 有希 同志社大学文学部 1回生
森末 穣 同志社大学工学部 3回生
松田 度 同志社大学歴史資料館 調査研究員

最終更新日 2004年9月24日

 彼岸花が咲く季節となりました。北志寮地点の発掘調査も終わりを迎えようとしています。これまで調査を進めてきたハワイハウス南側の調査区では、江戸時代の生活面で公家屋敷にともなうとみられる区画溝や井戸、巨大な粘土取りの穴などが見つかっています。室町時代の遺構は、主に調査区の西半分に残っていました。なかでも注目されるのが、東西方向にのびる溝状の掘り込みをともなう根石列と柱穴です。これは、数回の立て替えを経た後、16世紀の前半代には埋没したと考えられるものです。また、ハワイハウス西側の駐輪場予定地に設けた調査区では、地表から35センチの深さで明治時代以降の生活面が見つかっています。

 今日はかたい土の表面を削り出す作業。明治時代以降の生活面である。「ガリ」で表面の土を削る。最初はおっかなびっくり削っていた。しかし、だんだん慣れてきて、しっかりと、確実に手が動く。慣れと経験が役にたつ世界。途中、昭和34年の百円硬貨発見!工事の際迷い込んだのであろうか。
(町田)

 初めて現場に出させて頂きました。実際に土を掘り遺物が出てくるということを経験できたことを有り難く思います。機会があればまた現場に出て、現場でしか得ることのできないたくさんのことを学びたいと思っております。
(森末)

 ともに調査をした学生たちには、遺構の検出から平板測量まで、さまざまな局面を体験してもらうことができました。遺跡で学ぶこと。教えてもらう事、自分で考える事。土の中の歴史のこと、発掘調査の技術、それから、ともに調査を進める仲間たちとのコミュニケーション。遺跡の発掘調査は、いわば野外での学舎(まなびや)といっていいかもしれません。



「ガリかき」です


みつかった根石列


平板測量中





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