成田 祥子
同志社大学文学部 4回生
山口 誠
同志社大学工学部 4回生
松田 度
同志社大学 歴史資料館 調査研究員
最終更新日 2004年9月12日
猛暑続きの9月、北志寮地点の発掘調査も半ばを過ぎたところです。今回は、江戸時代以前の遺構・遺物について報告したいと思います。
調査区を東西にわけるかたちで、南北方向の根石をもった柱列がみつかっています。これは、わずかに北北西方向に中心軸が振れているのが特徴です。柱穴の埋土からみつかった土器の年代から、室町時代の遺構と考えられます。
また調査区の南半部で、13世紀の終わり頃から14世紀代の遺構がいくつかみつかっています。ひとつは長径が1mほどの土坑で、埋土から青磁の皿などがみつかっています。これが副葬品だとすると、お墓である可能性も考えられます。もうひとつは、少量の鉄滓とフイゴの羽口がみつかった浅い土坑です。土坑の形状は不整形で、周囲をより新しい土坑に切られたりしていましたが、南北2m以上、東西2m以上の規模になります。その下部からは、炭と灰が埋土になった南北1m以上、東西2.5mの土坑がみつかっています。ここからもほぼ同時期の遺物がまとまってみつかっており、一部平安時代に遡る緑釉陶器の破片なども混じっていました。
今回の調査では、平安時代の遺物もみつかっていますが、この遺跡のなかでは14世紀という時代がひとつのポイントになりそうです。
猛暑のなかで汗をかきながらこの調査を手伝ってくれた学生達にとっても、そして私自身にとっても、今回の調査は江戸時代以前の遺構をどのように考え、発掘するかというトレーニングになりました。以下、学生達にもらったコメントです。
今回、現場に出て発掘の様子を見、自分も参加することで、私たちが普段行っている整理作業は多くの作業員の方の頑張りに支えられていることを痛感しました。また、遺構から多くの遺物が実際に出てくることに感動し、昔の人々の生活の様子や文化に触れることができ、大変興味深い日々を過ごすことができました。(成田)
今回現場に出て、実際に遺構を掘りました。土器の破片などが出てきて、いままで何度となく見てきた土器ですが、土の中から出てきたそれは、本当に昔の人が使っていたのだという実感があり、整理室で見るのとはまた違う感じがしました。僕が発掘したのは破片やかけらばかりで、多分接合や実測はされないとは思いますが、それでも自分が考古学に少しでも貢献できたのが誇らしく思えます。また、機会があれば現場に出たいと思います。(山口)