発掘物語3 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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第19回 : 洛中洛外図の歴史地理

中村 拓人
同志社大学 文学部文化学科文化史学専攻 四回生

最終更新日 2003年6月30日

 全国一億二千万人の洛中洛外図ファンの皆様こんにちは。
 昨年キャンパス内から『上杉本 洛中洛外図屏風』に描かれている「公方様」(足利将軍邸)の一部と思われる遺構が見つかり全銀河中の圧倒的な注目を集めた同志社大学。そんな同志社大学では来春竣工予定の新大学会館に『上杉本 洛中洛外図』を解説する装置を導入すべく、極秘プロジェクトが進行中です。本日は私がその装置の情報をリークしたいと思います。

 『上杉本 洛中洛外図屏風』の魅力はなんと言っても、室町時代の京都の様子(建物・川・人物など)が描かれていて、室町時代の洛中洛外を散歩しているかのような気分になれるような気がするところですよね。でも、絵を楽しんでいるときに、知らない建物や見たこともない衣装の人物に出会ったという経験をされたことはありませんか?「この建物は何?誰が住んでいるの?」「この服の人はどんな職業の人なの?」そんな疑問を持ってしまったあなた!ぜひ来春、同志社大学の新大学会館に据え付けられた装置「展望の絵」を見に来てください!!きっと疑問はきれいに解消。大画面のモニターに映し出される『上杉本 洛中洛外図屏風』にタッチするとそのタッチした物の丁寧な説明が出るという仕掛けになる予定です。なんて便利なのでしょう!!
 それ以外にも、装置「展望の絵」ではさまざまな工夫が凝らされる予定ですがそれはまた別の機会に…。

時が流れて、洛中洛外図に描かれた町並みは変わっても、今でも京都ではその名残を感じることができます。たとえば、「小川(こかわ)」という川が『上杉本 洛中洛外図屏風』には描かれているのですが現在はそのような川は流れていません。今は「小川(おがわ)通」として名前のみが残っています。現在の小川通に足を運んでみると、川が流れていた名残か、周りの土地より小川通りの辺りは少しだけ低くなっています。それは、西洞院川の流れていた西洞院通も同じ。これは、ぜひ皆さんも確かめてみてください。ただし、室町時代にどの辺りを川が流れていたかは『上杉本 洛中洛外図屏風』でチェックされてから行ってくださいね。ほかにも、屏風に描かれた場所からは現在移動しているお寺もあります。いつ、なぜそのお寺が移転したのか、そういうことを調べてみると面白い発見があるかもしれません。

ぜひ皆さん、来春導入予定の「展望の絵」で室町時代の京都に詳しくなられたら、実際に京都の町を歩いてみてください。室町時代の息吹を感じることができるかもしれません。
ではみなさま来年の春、1000年の都でお会いしましょう。ごきげんよう!


ここ烏丸・今出川には勝智院があった



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