松田 度
同志社大学 歴史資料館 調査研究員
同志社大学 大学院 博士課程後期
最終更新日 2003年6月20日
6月21日に、発掘調査の現地説明会を実施することになりました。
今回の発掘調査地点は、たびたびふれてきたとおり室町時代に創建された中世法華寺院・本満寺の推定地です。
調査の結果、室町時代後半代に埋没した溝・堀がみつかり、あらためて本満寺との関連が注目されます。
また、蔵・井戸・地下蔵など、江戸時代の町屋の一角がみつかっています。これらは、現在静かなブームとなっている京都の町屋での暮らしを想起させるものです。
当日は天気の良し悪しにかかわらず、説明会と出土品・関連資料の展示、発掘調査のスライドショーを実施する予定です。
出土品は、寺院にかかわると考えられるさまざまな瓦、江戸時代の華やかな陶磁器をはじめ、平安時代から江戸時代まで多岐にわたります。
この説明会と展示は、午後1時から3時までという短い時間ですが、アルバイトの学生たちの楽しい応援(案内や展示解説をしてくれます!)もあります。
そのなかで様々なコミュニケーションがうまれるのも、大学ならではのイベントではないでしょうか。ふらっと一人で、家族を連れて、気の会う仲間で、それぞれ楽しいひとときを過ごしていただければと思います(天気が晴れればいいのになあ!)。
ところで、今回の調査を含め、昨年度から実施している新町キャンパス、大学会館跡地での発掘調査により、上京で展開していた歴史の新たな一面が徐々に明らかにされつつあります。
特に、中世(鎌倉・室町・安土桃山時代)の上京については、本大学の今出川・新町キャンパスを中心とした政治空間の実態が、近世(江戸時代)の上京については、京都という都市の中に生きた職人たちの姿がみえてきました。今回の現地説明会は、これらの資料の蓄積と研究をすすめながら、上京の地域史を考え、その成果を当地域に還元してゆくための布石ともなります。関係者一同、皆様のお越しをお待ちしております。