発掘物語2 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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基本層序予想図

松田 度
同志社大学歴史資料館非常勤嘱託職員
同大学院博士課程後期

最終更新日 2002年2月12日

 大学会館地点の調査もようやく1ヶ月が過ぎ、遺跡の状況がおおまかに把握できるようになってきました。今回は、大学会館地点の基本層序についてお話します。

 大学会館地点の基本層序は、上から順に、第1層(現代)、第2層(明治時代)、第3層(江戸時代後期)、第4層(江戸時代前期・中期)、第5・6層(室町時代から安土桃山時代)、第7層(室町時代以前)とあって、地表面から約2mで礫層(地山)となります。

 これらのうち、第3・4層は焼土を含む火災層です。第5層は礫の混じる厚い堆積層で、整地にともなう盛り土の可能性があります。その下にある第6層が、室町殿(花の御所)の時代に対応する堆積層と考えられます。

 第3層の火災層は、江戸時代前・中期の土器・陶磁器を含み、江戸時代後期の土器・陶磁器を含む土坑などに切られています。この時期の火災については、天明8年(1788)、京都の大半を焼き尽くした大火の記事があります。第4層上部の火災層については、包含されている土器が江戸時代初頭ごろのものであることがわかります。元和6年(1620)、上京で火事があったという記録が残されており、この火災層に該当する可能性があります。また、織田信長が元亀4年(1573)に上京の町を焼き討ちにしている、という事件がありますが、第5層の調査が進めばこれに該当する火災層がみつかることも予想されます。火災の痕跡は、考古学、文献史学の両者に共有される研究テーマの一つですが、お互いの比定を誤れば、まったく根拠のない歴史を作り上げてしまうことにもなりかねず、慎重な検討が必要です。

 これから、上記のような基本層序をつかって調査をすすめてゆく予定です。ただし、これはきまぐれな天気といっしょで、なかなか思いどおりにならないこともしばしばです。その場合は、調査の結果をもとに基本層序を訂正し直して、より正確な層順を確定させてゆくことになります。


大学会館地点の土層断面。



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