発掘物語2 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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あ、くっついた

松田 度
同志社大学歴史資料館非常勤嘱託職員
同大学院博士課程後期

最終更新日 2002年8月25日

 大学が夏休みにはいり、手伝いにきてくれる学生たちが増えて、大学会館地点の調査事務所もにぎやかになりました。今、この文章を作っているうしろでは、遺物のはいった青いカゴをならべて、みつかった土器・陶磁器の接合大会がおこなわれています。

 みつかったものは、基本的には以下のような手順で整理をおこなっています。

 まず、洗いおわったものを乾燥させて、土器・陶磁器、瓦、金属製品、石製品などの項目ごとに分類して、記録写真をとります。この写真1枚にうつった分ごとに、登録番号をつけます。次に、遺跡の略号と登録番号の注記をして、消えないようにニスをぬっておきます。このあと接合作業にうつります。

 とくに、特徴のある華やかな陶磁器類の場合は、その特徴を覚えておいて、多くの青カゴから同じ個体の破片を探し出して、くっついたということもあります。逆にかわらけなどは、同じような破片がたくさんあって、くっつきそうでくっつかない、という場合がほとんどです。まれに、文字がきざんであったり、書いてあったりするかわらけがあると、その文字の意味を考えたり、その残りの破片を探したりもしますが、その苦労がむくわれないこともしばしばです。

 文字といえば、開元通寶、寛永通寶といった、銭貨の整理が勉強になります。泥をきれいに落とすために、特殊な溶剤をつかって超音波洗浄器にかけた後、手元に『出土銭貨総覧』と爪楊枝を用意して、文字の解読にのぞみます。錆をすこしずつ取り除きながら、字を出してゆきます。わかったときはうれしいのですが、くやしいことに、どんなによくみてもはっきりと読めない文字もあります。

 このような整理作業は、発掘作業とともに、調査の成果を公表するためになくてはならない仕事です。きたるべき現地説明会にむけて、整理作業は続きます。


みんなで接合中。


銭をきれいに。



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