発掘物語 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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考古学は現場が一番

有吉 康徳
同志社大学 法学部1回生

最終更新日 2002年3月8日

新町北別館の発掘が始まり一週間がたち、ようやく現場の状況にも慣れてきました。初めて発掘に参加したこの一週間の感想は一言で言うと、「考古学は現場に出ることが一番勉強になる」ということです。

僕たちの主な仕事は遺構の概念図を書くこと、写真撮影の補助、デジカメ・デジタルビデオカメラでの撮影、各遺構からの出土遺物に注記をつけていくこと、そして遺物のデータ入力です。ときには、遺構の決定や発掘もやらせてもらっています。

この中で最も面白くて勉強になるなぁと思うことは遺構の決定と発掘です。はたから見ると非常に簡単そうに見えたのですが、いざ自分達でやってみるととても苦戦してとても時間がかかりました。この地層の見分け方のポイントはまず近くからや遠くから見て色の違いを確認すること、実際に土に触れて硬さや湿り具合で確認すること、色や土の違いが見えてもそれではなぜそう見えるのかを考えること、そして広い視野で遺構の構造を論理的に考えることだと教えていただきました。

何度も確認して掘る場所を決定し、自分達で掘りはじめましたが、きちんとした遺構の形になりませんでした。どうも自分達で決定した場所というのは土壌のシミだったようです。残念ながら失敗はしましたが観察力と論理的な思考を磨き、ちゃんと見分けられるようになろうという新たな意欲が湧きました。

現在最も興味深い遺構は、多くの土師器皿が積み重なって出土している土器溜りと地下式貯蔵庫の石組みです。以前の校地内調査でも地下貯蔵庫が見つかっているようなので、構造や石材を自分なりに比較してみたいと思っています。その為にも暇を見つけて以前の校地内調査の報告書を読んでいくつもりです。

当時この場所は一体何のために作られ(掘られ)、どのような景観だったのだろう?と想像するのは遺物だけではなく、実際に遺構も見ないと無理だなぁというのを感じます。今後もどのような遺構・遺物が姿を現すのか非常に楽しみです。


ある遺構で発掘中の一時



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