発掘物語 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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これまでの調査成果1

鋤柄 俊夫
同志社大学 歴史資料館 専任講師

最終更新日 2002年2月12日

今回の調査地点の周辺を見ると、永仁6年(1298)には、退位をした伏見天皇が新町通上立売にあった里内裏の持明院殿を仙洞御所とし、永和3年(1377)には足利義満が室町通りに面して「花御所」の造営に着手するなど、中世の京都を考えるうえで非常に重要な地域となっています。

これまでおこなわれてきた主な調査の成果をみてみましょう。

調査地25:
室町時代後期の庭石と庭園の池の一部が発見されました。庭石はチャートと珪質千枚岩で、直径は1.2mから2.5mの大きなものです。池は南にむかって下がっていくその汀部分が発見されました。

調査地27:
室町時代の庭園の一部と思われる石組が発見されました。石組は1.7×1.3mの穴に直径10センチほどの礫を敷いて、さらにその上に直径40センチと75センチの自然石を据えたもので、庭園造成時の陸の部分の施設と考えられています。また当時の生活をしのばせる中国製の陶磁器や銭も多数発見されています。

調査地36:
南北に平行して2条の東西溝が発見されました。北側の溝は規模は幅が3.4mで深さは1.5mで、断面は逆台形です。南側の溝は幅が2.7m、深さが1.7mで断面はV字形をしています。この溝から15世紀代の土器や陶磁器などが出土しており、室町殿に伴う溝と考えられています。

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