発掘物語 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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炉を掘る

市澤 泰峰
同志社大学 文学部文化学科文化史学専攻二回生

最終更新日 2002年5月21日

 今回自身二度目の発掘物語を書かせてもらうことになりました。先日は井戸について書きましたが、今日は炉について書きたいと思います。今回の発掘地である同志社大学新町キャンパス北側地点は、江戸時代、鋳物や鍛冶の工房があったらしく鏡などの多くの銅製品やそれにともなう鋳型や炉が確認されました。

 そのうちのひとつの炉跡を掘らせてもらいました。その炉跡はもともとあった炉の上に、また新しい炉を重ねて造ってあるという、二段重ねになっているものでした。私はそのうちの上側の炉跡を掘ったのですが、炉壁の部分には粘土がはりめぐらされていました。その粘土を出すことによって炉の全体像を浮かび上がらせようとしたのですが、今回の炉跡は当時の人々が廃棄をしていたようで、炉の中に石が大変多く入っていました。しかもその石が火を受けているものと、そうでないものがあり炉に関係するもの、例えば炉を囲んでいた石なのかどうか、ということがなかなかわからず掘りあげるのに苦労をしました。しかし、今回炉跡を掘ったことは遺構決定という部分で非常に勉強になりました。

 ゴールデンウィーク明けからは学館部分の発掘が始まります。今まで以上に厳しいものになると思いますが、多くのことを学んでいきたいと思っています。


炉跡を発掘中の一コマ。




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