発掘物語 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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金属製品について

松田 度
同志社大学大学院 博士課程後期

最終更新日 2002年5月17日

 今回は、新町校地遺跡・北別館地点からみつかった金属製品の紹介をします。 金属製品は、鉄製品と青銅製品に分けられます。鉄製品は、釘や鎹(かすがい)といった固定具、煮沸具の鍋があります。青銅製品には、水指などの容器、笄(こうがい)などの装身具、化粧道具の鏡(これは前回紹介しました)、喫煙具のキセル、太刀の付属品、ベルトのバックルのほか、銭貨、紐のつくミニチュア宝塔(はかりのおもり?)、梵鐘など大型製品の一部とみられる銅板、青銅の塊(銅滓)があります。

 とくに青銅製品は、そのほとんどが安土桃山~江戸時代の土蔵や鋳造にかかわる工房からみつかっています。単純に考えると、「この遺跡は、青銅製品をもう一度溶かして再利用していた場所だから、様々な青銅製品がみつかるのだろう」ともいえそうですが、もっと詳しく遺跡内での位置関係を探ってゆけば、さらにおもしろいことがわかるかもしれません。

 現在は、これらの金属製品のクリーニング(土落とし)を中心とした整理作業と、数百年の間についたサビを落としたり、これ以上サビがつかないよう科学的な保存処理をするにはどうすればよいか、といった話し合いを進めているところです。


遺物のクリーニング中。


見つかった金属製品。



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