発掘物語 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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井戸は語る

市澤 泰峰
同志社大学 文学部1回生

最終更新日 2002年3月20日

三月にはいり、人間が生きていくためになくてはならないものを得るための遺構が顔を出しました。さて、それは何でしょう?ヒント、水を得るためのものといえば。答えは"井戸"です。今回、現場の南西地区から明治時代以降の井戸と江戸時代中期の井戸が並んで検出されました。どちらも円形で、周囲には崩れるのを防ぐために石組みが設けられています。

二つの井戸が、非常に狭い中に、並んで出土をしたわけですが、江戸時代中期の井戸がいつ埋まったのかはわかりません。もしかしたら、江戸時代中期の井戸が長く使われ、その井戸を使わなくなって新しく井戸が掘られたのかもしれません。または、江戸時代の井戸は全く知られておらず、たまたま偶然にもすぐ隣に後世になって新しく掘られたのかもしれません。

そのどちらだったにしても、はたまたもっとほかの理由があったのだとしても、私が感じたのは、「水の出る場所というのはいつの時代も変わらないのだなあ」ということでした。地質の専門家の方にとっては常識なのかもしれませんが、私には新鮮な驚きでした。時代が違っても行きつくところは同じになっているところに、なんとも言えない人間くささを感じながら発掘作業に参加をさせてもらっています。


今回見つかった井戸。向って左側が明治時代以降、右が江戸時代中期の井戸。


江戸時代中期の井戸アップ画像。



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