整理室日記 | 執筆記事|同志社大学歴史資料館

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第40回 : 遺跡データベースへの道

重田 紗綾
 工学部4回生
酒井 俊幸
 工学部4回生

最終更新日 2004年3月24日

 考古学では,「どの時代の遺構や遺物がどのように分布しているか、どんな種類の遺構や遺物がどのように分布しているか」ということが重要です。これを基にして,そこにどんな人が住んでどんな生活をしていたかを推定するためです。そこで、先生からこの分布を表示するシステムを作って欲しいと頼まれました。

 そのシステムの内容を聞きますと、
「地図上に、遺跡、遺物の分布を表示して、それをクリックすれば詳細な情報の見れる画面がバンッと出てきて、そこには文字だけじゃなくて、画像も表示させるようにして欲しい。2D画像だけじゃなくて、3D画像も。・・・」

 先生の欲求は留まることを知りません。このシステムを完成させることは時間的に無理であったため、それをどこまで実現するかが私たちの仕事でした。

 現在、システム自体は珍しいものではなく、決して難しいものではありません。しかし、考古学には特有のデータ集積方法があり、それらを解読することから始めなければなりませんでした。

 そしてまた、このデータが曲者でした。1つの遺物に対して、遺物番号、遺物の種類(土器、瓦など)、出土位置、写真・画像、実測図、デジタルトレース図などのデータがあります。これらのデータの意味を理解するのにはそうかかりません。問題だったのは、これらが別々に保存されていて、しかも遺物は全部でおよそ13,000件ほどあるんです!!

 入力されているデータはあっているのか、どの遺物がどの画像・実測図などと対応しているか、どこに存在されているのか。2重、3重と重複したデータが散乱しており、まとめるのが大変でした。

 データの整理を終えると、ようやくそれらを組み合わせて行くことが出来ます。まず手始めに、検索部分を作ることにしました。検索が出来ることによって、詳細な情報を表示することが可能になります。ソフトに悪戦苦闘して、ようやく遺物の番号や名前、遺跡の番号などで詳細を検索することが出来るようになりました。

 ・・・こんな大変な作業を地道に続けてくれた4回生二人も卒業です。最後に、ここでの日々の感想を話してもらいました。

 「1年間このバイトを通して、今まで知らなかった考古学の裏方の仕事や、そのデータ集積方法などを学ぶことができ、とても楽しかったです。」(重田紗綾)

 「自分の知らないことを沢山知ることができて大変よかったと思います。また、いろいろな人に出会うこともでき、僕にとって実りのある1年でした。」(酒井俊幸)


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