加藤 結理子
同志社大学文学部

 2006年9月25日から28日の4日間、同志社大学歴史資料館にて館園実習に参加しました。

 実習内容は1日目:収蔵庫見学と「やきもの」の見方、考古資料の整理(石膏復元1)、2日目:地域と博物館の関わり・フィールド調査の方法、民俗資料の調査(図化)、3日目:拓本作業、遺物の写真撮影、4日目:資料の取り扱い実務(考古資料の梱包)、考古資料の整理(石膏復元2)でした。なかでも印象に残っている「やきもの」、考古資料の石膏復元、梱包作業についての体験報告をしたいと思います。

 まずは初日の「やきもの」の見方と収蔵庫見学。土器、炻器、陶器、磁器のそれぞれの特徴や見分け方を教えていただきました。釉を塗らず低温で焼いた素焼きの土器、高温で焼き締めてあり水漏れがしにくい炻器、釉が使われる陶器と磁器。実際にたくさんの考古資料に触れさせていただき、一つ一つその特徴を確かめました。資料を指しながら「これは何でしょう?」という先生からの問いに、「なんとなく炻器??」「釉を塗った跡があるから陶器」などと考え、答えながら、曲がりなりにも少しずつ違いを見分けることができるようになりました。興味深かったのが、瓦についてのお話です。瓦は陶器かと思ったのですが、土器とのことでした。焼き締めただけでは屋根に乗せるには重過ぎるため、松の葉の脂で表面をコーティングして吸水性を補った土製品なのだそうです。また、収蔵庫の中にも入らせていただきました。床から天上まで考古資料に囲まれるというのは、めったにできる経験ではありません。

 1日目と4日目に行った考古資料の石膏復元は、真剣勝負&体力勝負でした。まず、器の大きさ・形に合わせた同心円のダンボールを積み重ねて器の中身を作り、考古資料の欠けた外観を補います。それから石膏を水に溶かし、ソフトクリームくらいの硬さのものを作ります。その石膏をダンボールに沿って、器の欠けた部分に流していきます。始めは、やわらかい石膏は器の回りに流れてしまうのですが、しばらくすると急速に固まり始めます。勝負はここから。ヘラを使って回りに流れた石膏を押し上げ、形を整えていきます。ここで時間をかけすぎると、石膏が固まってしまい、思うように形が作れなくなってしまうのです。おおよその形ができると、4日目まで乾燥するのを待ちました。乾燥させると、次に余分についてしまった石膏はやすりや小刀で削るのですが、この作業が体力勝負。ひたすら削る。無心で削る。やり始めると止まらなくなり、実習生一同、休みもろくに取らずに夢中で削りました。最後は紙やすりで仕上げです。器の反りや形の特徴をできるだけ再現しようと試みるのですが、薄く削りすぎて欠けてしまったり、石膏の部分ごと外れてしまったり・・・一筋縄ではいきません。。

陶磁器の石膏復元作業

 梱包作業は、同志社歴史資料館の2階で考古資料に囲まれて行いました。実際の作業に移る前に、梱包という作業がいつ、どのように必要となるのか、企画展示の流れから説明していただき、「借用使用カード」というものを作成しました。資料を他館や個人所蔵者から借りる際に、資料の現状を双方で確認し、後のトラブルを防ぐために必要なのだそうです。所蔵状況、資料名、破損箇所などを記録し、資料の現状図を描きました。学芸員はスケッチも手早くできなければならないのです。カードが完成するといよいよ資料の梱包です。薄葉紙と呼ばれる紙に、脱脂綿を包んだ梱包材に資料を包んでいくのですが、ポイントは“不正形なものを四角く包みあげる”こと。器などの丸いものも、できるだけ四角くしておくと後で箱に詰めるのに都合がよいそうです。とはいえ、持ち手や脚などのでっぱりがあるものは、その部分を保護しつつ、全体を四角に仕上げるのは難しく、実習生みんな四苦八苦しました。最近では梱包作業を運送業者に任せることも多いそうですが、学芸員の仕事はこうした地道な作業の積み重ねなのだと改めて思いました。

資料の梱包作業

 最後になりましたが、実習を指導してくださった資料館の方々には、大変お世話になりました。ありがとうございました。一つ一つの作業をこなすことに精一杯になってしまうこともありましたが、実際に経験して分かること、納得できることの大切さを知りました。短い時間の中で様々な体験をさせていただき、考古資料の扱い方、見方、考え方を学ぶことができました。4日間の実習は、私にとって貴重な体験ばかりでした。