Palaeolith Culture
Anaphase stone tools at theplace of origin(30 to 12 thousands year ago)
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後期旧石器時代には、打製石器の材料として黒曜岩(北海道、中部、九州)、
硬質頁岩(東北)、サヌカイト(瀬戸内)などの限られた地域に産出し、
鋭い割れ口をもつ緻密な岩石がさかんに利用された。
とりわけ黒曜岩、サヌカイトのようにスポット的な産出を見せる石材原産地には、
集中的に石器作りをおこなった多くの遺跡がのこされた。
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近畿地方では、サヌカイト(讃岐岩)の原産地二上山北麓に石器製作址が多数知られている。
日本列島独特の横剥ぎ技術(瀬戸内技法)でつくられた国府型ナイフ形石器[1]は、
二上山北麓遺跡群の発見の端緒をつくった貴重な資料である。[2]はサヌカイト製の縦長剥片を素材とした
大型削器。右側の鋭利な縁辺には使用による刃こぼれをとどめる。
[3]は石器製作に使用された砂岩製ハンマーストーン(敲石)。縁辺に敲打による潰れが著しい。
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北海道の白滝、置戸は良質の黒曜岩の産地として著名で、石器製作址を中心とした多くの遺跡が発見されている。
[4]〜[6]は白滝、置戸で採集されたものである。
[4]は石刃製の掻器で、下端の弧状のぶあつい刃で獣皮の脂肪をかき取るのに使用された。
[5]は湧別技法の打面形成の際に生じたスキー状削片を転用した彫器。
おもに骨角や木に溝を刻むために使用された。
[6]はナイフ形石器・掻器・彫器・錐などの素材となる石刃を連続して剥がし取った石刃核。
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