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The research workshops of Japanese History in Doshisha Univ.
In Doshisha University, there are several research workshops of Japanese history by students and teaching staff. Please click below items for getting information of the regular meeting.

Ritual behavior in Inbehachimannyama Kofun


Jun'ichi SATOH

Last Updated on 8.25.2005


 今回紹介する井辺八幡山古墳は、和歌山県和歌山市井辺に所在する古墳時代後期の古墳です。この古墳は全国的にみても著名な群集墳、岩橋千塚古墳群の一支群である井辺前山古墳群で最大規模を誇る全長約88mの前方後円墳です。立地としては福飯ヶ峯山塊の北東にある通称八幡山山頂に位置し、その自然地形を上手く利用して北西に前方部を向けた形になっています。この古墳は井辺前山10号墳と呼称されていたのが、正式な調査報告書が出版されたときに井辺八幡山古墳に変更されました。皿などの石器や、縄文時代後期の土器も出土しています。

 この古墳の調査は、1969年に和歌山市教育委員会の委託を受け、本学の森浩一前教授(現名誉教授)らによって墳丘規模の把握と造り出しの発掘を目的として行われました。その大きな成果としては、くびれ部の両側に付設された方形の造り出し上において検出された埴輪と土器による祭祀の一端を明らかにすることが出来たということです。この時の調査で埴輪の出土状況を細かな精度で記録にとり、その後の報告書で埴輪の配置の復元などの検討が可能な資料を残せたという点において、学史的にも非常に重要な成果となっています。造り出しは、墳丘くびれ部から突出した方形な平坦面になっていて、その内側に円筒埴輪によって方形区画がなされています。この造り出しのほぼ全面から埴輪と土器の破片が重なって検出されています。このうち、それぞれの底部や台部のみ現位置を保って出土していて、どのような状況で造り出し上の祭祀が行われていたかある程度復元することができます。この造り出しからは、円筒埴輪のほか人物埴輪や動物埴輪、家形埴輪、器財埴輪、須恵器の大甕や蓋杯、器台、高杯、その他に土師器の高杯などが出土しています。

 次にこの古墳における祭祀の具体的な内容についてですが、大きな特徴として東西の造り出しで埴輪や土器の配置の場所が異なっているということが挙げられます。たとえば、人物埴輪の数は東西の造り出しでほぼ同数だと考えられていますが、その位置関係は全く異なっています。そのなかの一部分ですが、西側造り出しでは中心とそれを囲むように点在して配置され、東側造り出しでは整然と三列に並べられていたことがわかっています。その他にも西側造り出しでは人物埴輪や馬形埴輪に土器が供献されるのに対して、東側造り出しではそのような例は見当たりませんでした。また、飲食儀礼の一環であると考えられている供膳具(小型の土器)の一括集積も西側造り出しにのみ行われていました。このように、埴輪や土器の配置がなんらかの意図をもってわざと異なる形で並べられていたのだとすると、同じ造り出し上のことではあっても東西で祭祀の持つ意味や祭祀を行う意義が違っていたと解釈することができます。そして、古墳における祭祀はけして画一的なものではなく様々な形で行われていたと考えることができます。

 このように古墳における祭祀を理解するための一助となっている井辺八幡山古墳ですが、出土した埴輪それ自体も特筆すべきものがあります。たとえば、まるで取り組みをしているかのような体勢の力士形埴輪や大陸系文化要素と考えられている角杯を背負った武人形埴輪などといった興味深いものが出土しています。機会があれば、本学歴史資料館で古代の祭祀について思いを巡らしてみてはいかがでしょうか。


井辺八幡山古墳から出土した埴輪(左:人物埴輪, 中:器財埴輪〔蓋・盾〕, 円筒埴輪)


埴輪とともに出土した須恵器(装飾付器台)


参考文献

  • 『井辺八幡山古墳』同志社大学文学部考古学調査報告第5冊1972
  • 「和歌山市井辺前山10号墳調査概報」『古代学研究55号』古代学研究会1969

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